3. 商品ベネフィットの階層構造

 商品をベネフィットの束(bundle)と捉えると、その階層構造は図表−3のように示すことができる。



 機能的ベネフィットをベースに、情緒的で感情的絆である感覚的ベネフィットは、自己表現的で状況依存的な意味を示す情報的ベネフィットとともに記号的ベネフィットを形成している。この機能的ベネフィットが多くを占めていた構造がシフトする。市場が成熟するにつれ、技術が平準化とともに、機能的ベネフィットで差別化を図ることは難しくなる。これに、これまで周辺価値として捉えられていた環境配慮というベネフィットが本体ベネフィットとして組み込まれるようになり、経験ベネフィットの側面をもつようになる。普及の初期段階では、環境配慮効果を把握しづらいだけに記号的な環境配慮の雰囲気を享受することも推察できよう。
 また、商品(ブランド)ベネフィットに関して、機能的ベネフィット、経験的(experimental)ベネフィット、象徴的(symbolic)ベネフィットの3分類も提示されている。
 この視点からは一つの商品がもつベネフィットの階層性を離れて、機能的商品、経験的商品、象徴的商品に商品が識別されることになる(Park, Jaworski, and MacInnis[1986];Keller[1993])。しかし、ここでは、一つの商品が多義性を帯び、多様なベネフィットを保持していることを前提としている。
 人々は商品の機能ゆえにそれを求めるのではなく、商品のもつ象徴的意味を受容するからこそ購買につながる(Levy[1959])など、意味研究の重要性が指摘され、市場で受け入れられるために、商品の本来の機能をこえた無形ベネフィットの開発も唱えられてきた(Levitt[1980][1981])。そうした提示はあったものの、商品のもつ意味に注意を払い、その調査、研究が、マーケティング関連領域において十分になされてきたとはいえないと指摘されている(Hirschman and Holbrook[1982])。